- クレーム対応って、どうやるのが一番いいの?
- クレーム対応は、やりたくないな
- クレームが出ないようにするには、どうしたらいいの?
- 苦手なんだよね、クレーム対応って
- クレームはストレスがたまる
クレームをこんなふうに感じている店長がほとんどではないでしょうか。
実際、私が店長のころは、これらすべてのことを感じておりました。
ここでは、店長時代に体験したクレームから対応方法をわかりやすく解説いたします。
申し遅れましたが、私は約20年間の飲食チェーン店店長の経験を経て、現在はIT部門の本部マネージャーをやっています。
私が店長時代に学んだクレーム対応の知識と実体験をもとに、クレーム対応の考え方と方法をわかりやすくお伝えします。
そんなこと言っても、それぞれのクレームによって対応が違うとか経験が必要とか言うんでしょ
安心してください。
ここでは、簡単なクレームの分け方とすぐに実践出来てる方法をお伝えします。
正しいクレーム対応の知識と技術を手に入れて、クレームに強い店長になれます。
そうすれば、クレームに強くなるだけでなく、誰かに教えたくなるようなスキルを手に入れられます。
クレーム対応は不真面目でok!
クレーム対応を喜んでする店長っていますでしょうか?
喜んでクレーム対応する店長は見たことがない
私を含め、私の知っている店長は、ほぼ全員「クレームは嫌だ!」と言っています。
実際、私はクレーム対応で精神をすり減らした経験をし、今振り返ると「うつ」だったのではないかと思うくらい病んでいました。
つまり、クレーム対応で一番気をつけるべき事は、
店長自身の心の状態を一番大事にする
ここの見出しでもあるように、クレーム対応は不真面目ぐらいがちょうど良いです。
勘違いしてはいけません。
「手を抜いても良い」「適当に対応すれば良い」といった考えではありません。
もちろん、クレーム対応は一生懸命な対応でないと解決しません。
たとえ解決しなくても「こんなもんだ」という気持ちになって、自分自身の心を守っていただきたいという意味です。
もしクレーム対応に悩んだら、すぐに相談できる上司や同僚などに話しましょう。
一人で悩まないように相談することです
どうしても、相談する相手がいない人は、ココナラをおすすめします。
とても、リーズナブルでお手軽なので、一人で悩む必要がありません。
また、一日に接する人数に比例して、ストレスを抱えることが分かっています。
特に接客業は、接する人数が多くストレスの多い職種とも言われています。
そのため、クレーム対応でうつ傾向にある店長も多く、そんな店長には転職をおすすめします。
登録が無料な転職エージェントといったものがありますので、気軽に転職ができます。
転職エージェントに興味のある店長は、下記を参考にしてください。
クレームの種類
クレームは、分類することで発生したときの対応方法を決める判断材料になります。
ここでは、ごく基礎的な分類方法を紹介します。
なお、この考え方はロジカルシンキングのMECEの手法ですので、ここで紹介する以外にも分類方法はあります。
MECEについては、下記で紹介してます。
正しいクレームと正しくないクレーム
正しいクレームは、下記のようなものです。
- お店にあきらかに否があるクレーム
- お客様にとって本当は言いたくないが、どうしても言っておきたいクレーム
- お客様はお店のことが好きで、良くなって欲しい気持ちからでるクレーム
一方で、正しくないクレームは、次のようなものです。
- 嫌がらせ
- 金品の要求
- 暴力的行為
正しくないクレームは、法的に問題のある行為です。
犯罪行為は、迷わず警察に連絡してください。
また、判断に迷うものは、判断できる「警察」「上司」などに相談して判断してもらいましょう。
もちろん、判断するために必要な知識はインプットしておく方が良いです。
正しくないクレームは、法的に問題があります
サイレントクレーマーとクレーマー
サイレントクレーマーとは、「お店に対して大きな不満を持っているが、口に出すことなく、2度と来店しないお客様」のことです。
一般的には、不満を伝えてくれるクレーマーよりサイレントクレーマーの方が割合が多いとされています。
つまり、お店に対して不満を伝えるお客様の声は、実際にはもっと多数のお客様が不満に感じていると認識する必要があります。
店長時代にこのことを知ったとき、クレームはお店の現状を言ってくれていると気づけたのを覚えています。
サイレントクレーマーの方が怖いですよね
クレーム対応の基本
ここでは、私の体験から効果のある対応方法を紹介します。
正しいクレームであれば、間違いはありません。
また、すぐに実践できる対応がほとんどです。
話を聞く
これはものすごく大事でした。
話を聞くことが出来れば、クレーム対応が出来ると言ってもいいぐらいです。
なぜなら、クレームを言うお客様は、次のような状態だからです。
- 怒っている時は、とにかく自分の感情をぶつけたい。
- 怒るという感情は、とてつもないパワーがいる。
つまり、言いたいことを聞くことができれば、お客様の感情がある程度収まり、冷静に話を聞いてもらえる状態に出来るからです。
実際にこの手法を取り入れてからは、その後の対応に大きな変化が生まれました。
そして、この手法にはキラーワードがあることを発見しました。
- 「おっしゃるとおりです」
- 「そうですよね」
- 「その気持わかります」
こちらの否を認めることなく、お客様の言葉を肯定するのです。
怒っているお客様に話かけても、言い訳にしか聞こえないことがほとんどです
謝る
謝るという行為は日本独特の文化・慣習かもしれませんが、謝ったからといって裁判で負けるとか不利な状況にはなりません。
謝ることで、お客様が店長を味方に感じていただけるキッカケになります。
ただし、注意点もございます。
あげ足をとってこられる場合もあります。
「謝ったということは、否を認めたということだから、弁償しろ!」
みたいに、詰め寄られる場合があります。
そんな時のための言葉があります。
「お客様に不快な思いをさせ、申し訳ございません」
何が駄目でクレームになったのか原因や責任がはっきりしない場合がほとんどですので、このように謝ることで、否を認めたことにはなりません。
言葉に気をつけて謝罪すれば、好転するキッカケが作れますね
クレームの前兆に気づく
ある程度、店長の経験を積むとクレームになりそうな前兆に気づけます。
心の中で、「あっ、あそこのテーブルにクレームの匂いがする」のような、神がかり的に声が聞こえてきます。
しかしながら、これは職人的なスキルになってしまいますので、一番効果のある手法を紹介します。
たくさんの店長に、「クレーム体験談を聞くこと」です。
クレームが起こりそうなことに気づき、未然にクレームを防ぐことが目的ですので、たくさんの体験談を聞けば聞くほど効果があります。
なぜなら、たくさんのクレームに対応をした店長であれば、次のことに気づいているからです。
クレームは、1つだけの不満では、ほとんど起こらない。
ほとんど全部と言っていいぐらい、2~3つ以上の不満が重なった時にクレームが起こる。
例えば、予想以上の来店客により料理提供時間が遅くなってしまっている状況で、新規のお客様が来店した場合である。
当然、その新規のお客様の料理は待たせてしまうので、店長自ら出向きます。
申し訳ございません。ただいま、お料理が立て込んでおり、お時間を頂いております。
こうすることで、複数の料理遅れに対し、不満を軽減させることが可能です。
事前にクレームに気づくのは、やはり経験が必要ですので、ベテラン店長に話を聞けば今まで気づけなかった前兆を知ることができます。
クレームが起きる前に防げるのが1番いいですね
クレームになる接客を演じる
ここで解説するのは、私が社内研修で実践した内容です。
この研修の目的は、どんな接客がお客様を怒らせてしまうのかを理解することでした。
実践した内容は次のとおりである。
- 1人が従業員役で、1人または2人がお客様を演じる。
- シチュエーションは、来店時・注文時・会計時など、色々なパターンを実施。
- お客様は、ごく普通のお客様を演じる。
- 従業員役は、お客様にとって嫌な接客をわざと演じる。
当然、嫌な接客は不満になるから、しないほうが良いという事例を知ることが目的です。
しかし、実践してみて一番驚いたことがあります。
お店で一番接客の良い従業員がめちゃくちゃ不愉快な従業員を見事に演じていたことである。
それも、各店の接客自慢な従業員全員がとても不愉快な従業員を演じていたのです。
どうすれば、お客様にとって不愉快な接客かを熟知している従業員ほど、嫌な接客を上手に演じている。
それが出来る従業員ほど、上手な接客が出来る。
つまり、
「上手な接客を覚えるよりも、どんな接客が駄目なのかを覚えることでクレームを減らせます。」
接客が上手な人ほどクレームになる接客を理解していますね
まとめ
店長時代のクレーム実体験より、クレーム対応について解説しました。
クレームには、種類があり、どの種類になるかで対応内容を判断できます。
また、対応には基本があり、特に「話を聞く」ということが重要なポイントです。
そして、クレームは未然に防ぐことが可能で、いろいろな考え方があるということです。
いちばん大事なのは、クレーム対応はとても精神的ダメージが真面目な店長ほど大きいことです。
どうか、一人で悩まず、うまくいくことの方が少ないぐらいの気持ちで対応していただきたいです。
この記事が一人でも多くの店長の悩み解決になれば、嬉しいです。